カテゴリー「絵画・画像」の4件の記事

2016年2月21日 (日)

ベテラン漫画家に悩む

どうも最近ウチのテレビが面白くない。買い替え時かな?(ちがう)

しかし、昨夜例によってザッピングしていたら興味深い番組を見つけた。ひとつはテレ東で浦沢直樹の個展をメインテーマとして彼の作業を丹念に捉えたもの(番組:「クロスロード」)、もうひとつはNHKでやはり浦沢が出演しているのだが、さいとうたかお(ほら、あのゴルゴ13の)と対談しているというもの。後者は伝説になるような番組で、漫画に興味があって見逃した人、特に漫画家を目指している人はNHKオンデマンドにでも駆け込んで有料でもいいから見るべきだ。

Setabun_top 前者は世田谷文学館で今年の1月15日(一般公開は16日から)~3月31日まで開かれている浦沢の個展(つまり、今日も開催中なのだ)へ向けて浦沢の業績や実際の作業などを紹介しているものだった。

浦沢の作品はYAWARA!から見ていて、モンスターがちょっと重く、20世紀少年は映画もちゃんと劇場で見たけれどもあまり好きになれず、ということでファンというにはちょっと距離を置きすぎなのだが、絵は好きだ。

番組では普段から不断に絵のことを考えていて、例えば電車で前に座って居眠りしている老人の影の様子を観察していたりしていて、その様子をさらさらとカメラの前で再現して見せたりする。

この人に限らないかもしれないが、すらすらと絵を描き上げる様子というのはそれ自体がアート・パフォーマンスだと思う。そういう意味でもこの番組はたいへん楽しむことができた。

この番組の中では何度も浦沢自身の顔が映されるわけだが、浦沢自身の顔がなんだか浦沢の描くキャラクタに似てきているように見えた。実際には逆なんだろうけれども、なんだろうな、私がそれだけ浦沢の描き出すキャラクターに引き込まれているということなのかもしれない。

個展へ向けての動きも面白かったのだが、それは個展の情報(リンクは開催中のみ有効)をみていただくとして、とにかく面白い番組だった。録画しなかったのが惜しまれるが、まぁ録画してどうなるというものでもないし。

番組の終盤で、浦沢が番組ナビゲータの原田泰造を描くということになって、ただし心象風景として「成功したのだが、それを顔に出したくないのだけれどもうれしさが顔ににじみ出てしまう」ということを描き込んでくれ、と。「無茶ぶりだなぁ、むつかしいなぁ」とかいいつつさらさらと描いてしまったのだが、録画もしていないので当然ここにお見せできないのが残念。時間がたてば「原田泰造 浦沢直樹 成功」あたりで検索すると見つかるかもしれない。

Duketogo「漫勉」ではさいとうたかおの作業風景を定点カメラで撮影し、おそらくは番組スタッフが編集したものを見ながら二人が対談するという形式だった。

浦沢はゴルゴ13の単行本巻末に短編を描いていたのがデビューだったそうで、さいとうは「え?そうだったの?名前見てなかったなぁ」いう反応。

さいとうたかおは現在78歳で、今でもゴルゴ本人だけは彼が描いているし、そもそもカット割り、ネーム、コンテと最終チェックを丹念にこなしている。

ゴルゴを描くのもなかなかの衝撃的なもので、顔のだいたいの大きさを楕円と十字でさらっと描くと、いきなり太めのサインペンみたいなもの(さいとうはminiペンと言っていた。乾燥が速いんだそうだ。)で眉毛を描き始める。

浦沢も「私も眉毛から描きます」と言っていたが、その後もなんの下書きもなく各種の太さのminiペンを使って描き上げる。ちなみに漫画家がよく使うGペンというのはさいとうたかおが使い始めたのだそうだ。

下書きなしで描くのも衝撃だったが、浦沢が「これは衝撃映像ですよ」と言っていたのがホワイト(修正液)をタバコの火を近づけて乾かすシーンで、「焦げないんですか?」「昔は焦がしたこともあったよ」などの会話が。

まぁほかにも面白い話がたくさんあったのだが、今二人に共通するのが「漫画は映画を安く作る方法である」と考えているということ。さいとうたかおがカット割りと絵コンテを描き、最終チェックで擬音を書き加えたり、「汗」っぽいものを描き加えるのも監督としての所作なんだろう。

「漫勉」は3月3日からシーズン2が始まるらしい。シーズン1の再放送がないか、DVDが出ていないか、チェックしてみよう。

そしてこれから出かけるのだが、環八で世田谷文学館の近くを通るんだなぁ。ちょっと寄りたいけど無理だな。

2017年9月18日追記:

Harada_by_urasawa
原田泰造 by 浦沢

 

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2015年12月13日 (日)

ピカソの自画像に悩む

絵のことは何にもわからないが、ほんの時たま「いいな!」と思う絵があったりする。特に根拠はないがひょっとしたら絵にはうるさいのかもしれない。いいと思うものが少ないから、絵に興味を失ってしまったのかも(偉そう)。

リビングにはピカソの複製の絵を飾っている。いつか書いたかもしれないが「ソファで眠る女」とかいうタイトルの絵で20年以上前に買った。ピカソは面白いと思っていて、画集を見つけるとついつい買ってみたりする。

Classique2今日も古書店でそんな画集を見つけた。ピカソ・クラシック1914-1925という画集だが、上野の美術館での2003年の展覧会のパンフレットっていうか、250ページくらいで厚さが2cmくらいあるからカタログっていうんだろうか?

いわゆる「奥付け」みたいなものがないので本として出版されたり市販されたりするものではないらしい。

タイトルの通り1914-1925ということで、これはピカソが33歳から44歳までの期間に相当する。とは言ってもピカソの「青の時代」がいつ頃だったのかとかいう基本的なことを知らないので何とも言えない。

調べてみると、「青の時代」とはピカソが19歳から数年のことを指すらしい。だからどうなのか、っていうとキュービズムから写実的な作風に戻ったころらしい、ということくらいしか私には分からない。

で、内容をみると今まで見たことがないような絵がいろいろあって面白い。クラシックっていうのは古いっていう意味かと思ったがそうじゃなくて、「最高の」とかそっちのほうの意味なんだな、きっと。

で、いろいろな習作や下書きなんかがあって興味深い。特に面白いと思ったのがこの習作で、「音楽家のマネージャーとその楽器のための習作」というものだが、なるほどキュービズムというのはこういうことだったのだな、と思わせるヒントがあるように思う。

Musician2
もう一つ面白いのが36歳の時の自画像で、これはまるで某春日君じゃないか。

Selfportrait2
しかし、googleで「picasso self portrait」と検索しても、この絵は出てこない。ひょっとして貴重な絵なのかもしれないな。

翌日追記:

Sleepinggirl2 これがウチの「眠る女」。殺風景な天井灯が映り込んでいるが、まぁありのままを見ていただこうということでそのまま掲載する。本物をディテールまで見たい人はこちらで見ていただきたい。同じようなタイトルの別作品も見ることができる。

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2015年7月 9日 (木)

シンプル・アートに悩む

電車の中で見かけた布製のバッグなのだが、その生成りの布に印刷されていたのが「.」(ピリオド)と「,」(カンマ)を並べただけのデザイン。

それは面白いなぁと思って、セミコロンとコロン、さらにアポストロフィをランダムに並べてみた。これは面白い。同じ記号が連続しやすいようにしてみた。

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こんなものでも、ちょっと面白いものができる。「シンプル・アート」と言ってもいいのかもしれない。

音楽なんていうのも、興味が無い人から見ればその情報量はこんなものかもしれないしね。

翌日追記:

やっぱり画像にしないと、ブラウザやフォントによって見え方が変わってきちゃうので、等幅フォントで画像にしてみた。

Dots

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2013年11月17日 (日)

曲率半径で悩む

実は1年位前からBLOGに書きたいと思っていて書けていないことがあって、いろいろ模索していたりしていたのだが、なかなか成果が出なくて書けないでいた。

でも書き始めたら何とかなるかもしれないと思って書き出す次第。
何の話かというと、図形というのかなぁ、曲線で構成される図形のことなんだけど。こういうのはどういうカテゴリに分類するのかというのも難しい問題だったり。だから、「絵画・画像」というカテゴリを追加してみた。そういえば超写実絵画の話はどういう部類にしたんだったかなぁ?
まずはこの絵を見ていただこう。最近TVCMで流れているのを見た方も多いと思う。

Kconyanko

これを見ると、誰の絵なのだかすぐにわかりますよね?
もう一つ見ていただこうかな
Fightingpod

これも誰の絵なのだか、すぐにわかると思う。右下には特徴的なキャラクタが描かれていたのであえて削除した。こういうのは厳密に言うと著作権的にちょっとまずいのだが、引用ということで勘弁していただきたい。
こういう絵を引き合いに出して、何を言いたいのかというと、絵を見る人はその絵から曲線の曲率半径分布を感じることによってある種の情報を得ているのではないか、という思うわけなのだ。

曲線図形の曲率半径ということに関して、私は大昔からある刷り込みを持っていて、それは「美しい図形を構成する曲線は、その曲率半径が滑らかに変化する」ということだ。

具体的な例を示すと下のようになる。左の曲線は二つの円弧をつないだもので、つなぎ目のところでカーブの方向とともに曲率半径が急に変わってしまうが、右の曲線では曲線の曲率が滑らかに変化しているので、なんていうか製図くさくないっていうんでしょうか?
Curves
で、人間が手で描くものは、各人の手や腕の筋肉の使い方によって描く線の時々刻々の曲率半径が変化していくわけで、絵を描くことについての訓練と経験によって形作られたその描き手の特徴が曲率半径の分布という形で表現される、のではないか。

そういうことを考えているので、私の興味としてはふたつあって、

1) 図形から曲率半径分布を読み取れないか?
2) 曲率半径分布を何らかの方法で設定して、そこから図を描くことはできないか?

1)のほうはなかなか難しくて、先に例として引用したものをBMPフォーマットにすればなんとか力づくでできなくないとも思うのだが、ちょっとしんどいなぁ、と。
2)のほうも、つまりはフーリエ展開と逆フーリエの関係みたいに直接的にはできないだろうから、いろいろ別途パラメータを決めてやらないといけない。でも、何らかのパラメーターから曲線をひょろひょろと描くのならできなくもないかな。

ということで、ひょろひょろ曲線を描くことをちょっとやってみたりしていたのだが、あんまり見せられるほどの成果も出せず、かといって1)のほうを極めるのもなかなか面倒だ、ということでずっと棚上げになっているわけなんです。

ってことで、こういう棚上げ物件がいくつもあったりするんだなぁ。

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