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2019年5月26日 (日)

水蒸気で悩む

水蒸気について、大きな思い違いをしていたことに気が付いた。

水が100度になると1気圧の環境では当然水蒸気になるが、0度から100度までの間(常温と呼ぶことにする)でも水蒸気は発生している。私はこれをあたかもガスが発生するかのように考えていたのだがこれが間違いらしい。

どういうことかというと、例えばジップロックみたいな透明なプラスチックの袋に空気が入らないような状態で水を入れて直射日光の元に放置すると、水蒸気の泡が相当量(例えば体積比で水の量の5%とか10%とか)発生するだろうと思っていたのだ。

これがどうも違うらしい。

「常温の水蒸気は空気に溶け込む形でしか存在できない」ということのようなのだ。つまり常温では空気が無いと水蒸気は放出されない。

早速やってみた。

所により真夏日にもなっていた昨日、ジップロックに水を入れで気泡を抜き、直射日光の元に2時間ほど放置した。

Waterinbag

日光を吸収しやすいようにしたに濃色のタオルを敷いた。細かな気泡は見られるが、期待したほどの大きな気泡はみられない。小さな気泡は水蒸気ではなくてもともと水に溶け込んでいた窒素とカCO2とかの気体だろう。


どうしてこんなことを気にしているのかというと、過去に書いた自分の投稿を見直していたからだ。

「海水から真水を得る方法」として、海水から自然発生する水蒸気を集めてやや深いところにある低温の海水で冷やせばいいじゃん、ということを考えていたのだったが、「水蒸気の循環をどうするんだ?」というご指摘を受けつつも、それは水蒸気自身の水蒸気圧でなんとかなるんじゃないか、と考えていたのだった。

水蒸気の循環に媒体としての空気が必要だということになると、例えば水蒸気を含んで重くなった空気が下の冷却部分へ流れていき、冷却された空気は水蒸気が凝結して水となるので空気自身は軽くなる…と都合のいいことだけを考えるとこういうふうになるのだが、水蒸気を含んでいる空気は温度も上がっているのでその分軽くなるし、水が凝結するくらい冷却された空気はそれ自身が重くなっているだろう。なんだか結局その両方が釣り合ってしまうような気がしなくもない。

しかし、考えてみるとこれはヒートパイプではないか。ヒートパイプというのは温度の高低差のある部分をパイプ内に循環する液体の揮発・凝縮によって熱を移動させるもので、ヒートパイプにおいては揮発・凝縮する液体をどうやって循環させるかということが問題になる。実際のヒートパイプでは業種した液体を重力で熱源側に戻すとか、毛細管現象を利用するなどしているわけだが、私のような利用方法だと液体を循環させる必要が無い。

液体から蒸発した水蒸気は空気中に循環というよりは拡散していって、空間内で水蒸気が均一になるんじゃないだろうか。

そう考えてこんな実験をしてみた。PETボトル2本を組み合わせて片方では日光から太陽熱を吸収して水蒸気を発散させ、連結されたもう一本のPETボトルを保冷材で冷却するという仕組みだ。

Vapour

実際に作ってみて、一番大変だったのがこの部分だ。冷却塔のPETボトル側面に穴をあけ、もう一方のPETボトルのフタを(フタの底を抜いて)取り付けた。取り付けには初めてグルーガンというのを使った。

Bottlenub

これをこんなふうに設置する。太陽熱を吸収するように吸熱塔(と今名付けた)には黒いプラスチック(BOOKOFFの袋)を放り込んである。冷却塔には保冷剤を括り付けてタオルでくるんで低温を保つようにする。

2bottles

で、こうやって時期的に早めの炎天下に3時間ほど放置したところでさてどれだけ水がたまったかな? と冷却塔を見ようとして大失敗。全体が傾いて吸熱塔の温水が冷却塔に流れ込んでしまったのだ。

すっかり落ち込んだところからどうやって立ち直ったかという点は割愛。

翌日に再度挑戦だ。

一晩の猶予があるので、冷却塔のボトルに保冷剤を密着させて冷凍庫で凍らせた。前回は保冷剤をボトルに密着させるのに苦労したが、今回は輪ゴムで簡単に装着できる。

Coolingbottle

で、今回は保冷材の上からタオルを巻き、さらにその上からコンビニ袋で断熱を試みる。

3時間放置したら、さすがに吸熱塔でも内面に結露している。水蒸気は満タンっていうか飽和状態だ。

Ketsuro

昨日の大失敗を繰り返さないよう、慎重に吸熱塔を外して冷却塔を取り出す。

ご覧あれ。

Cooledvapour

なんだよ~、嫣然入っていないじゃないか。水分は無しというわけではないが、せいぜい0.3CCというところ。そんなものなのか?

考えても見てほしい、真夏のビヤホールで冷えたビールのジョッキは大量に汗をかいているじゃないですか。あれくらいの水分は楽勝で取れると思ったんだがなぁ。

というわけで、まだまだ改良が必要ってことかな。

翌日追記:

調べてみると、1立方mの50度の空気には飽和水蒸気として25.5gを取り込むことができる、らしい。このPETボトルは500CCだから、0.013gってことだ。空気の重さは1リットルで29gだったか1立方mで28gだったか、まぁどっちにしても水蒸気を目いっぱい取り込んでも大したことではないので、熱を得て軽くなった空気は水蒸気なんぞを抱えたままでも軽々と浮き上がってしまうのだ。

考えてみれば、海とか川とかから水蒸気を得て暖かい空気が上昇し、高空で冷やされて雲になるのであった。考えなくてもそうなんだけどな。

だから、冷却塔の冷却部分を上に持って行けばいいのだな? ほんとだな?

翌々日追記:

冷却塔を上にしてベランダに仕掛けておいたのだが、あいにくの雨になってしまった。雨になるのは明日じゃなかったのか?天気予報が時間軸で外れたらしい。

結果がこれだ。

A_cap_of-water

ちょうどキャップ一杯分だけ採れた。測ってみると7gだった。雨の日ということを考えるとこれはなかなかいい結果じゃないかな。

ちゃんと計算していないけれども、水蒸気を飽和させることよりも凝縮させるための冷却のほうが大事なのではないだろうか。冷却の実力は保冷剤で定まるので、これが晴天であっても同じような結果になったのではないかと思う。

つまり、水蒸気が飽和してしまうとそれ以上いくら加熱しても水蒸気はそれ以上発生しない。それよりも飽和している水蒸気を凝縮させて新しく水蒸気を発生させる隙間を作ってやることの方が大事なんじゃないか、と。

なので、今考えているのは晴天の日にもう一度同じことをやるっていうのもあるんだけれども、保冷剤を空気中に放置して、保冷剤が室温になるまでにその周囲にどれくらい空気中の水蒸気を凝縮させることができるかを測定する、っていうことだ。

というわけで、つづく。

6月2日追記:

きっとこういう製品があると思って探していたらこんなのを見つけた。Aquamateというものらしい。日本円で3万円弱だ。直径30cmほどで1日に0.5~2.0リットルほどの水を作れるらしい。なんでもNATOの備品番号があるとかいうことだから、「NATO御用達」ということなのかな。

Aquamate_on_sea

仕組みを描いた絵もあった。ふむふむ。左下のタンクに水がたまるらしい。

Aquamate
これを作っているのはイギリスの会社のようだ。HPがこちら

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