釘になったウサギに悩む
ウィリアム・スタイグはジェレミー・スタイグの父親である。ジェレミー・スタイグはジャズ・フルーティストであり、画家でもある。超有名というほどではないが、一部に熱烈なファンが存在する。ジェレミーは日本人女性と結婚して2009年から日本に住んでいたが、2016年に日本で亡くなった。
ジェレミー・スタイグが2009年に来日した時、茅ケ崎で彼の絵の個展を開くということを聞きつけて、私は茅ケ崎まで出向いて、ジェレミー本人と小一時間ほどお話しすることができた。その時にお父さんが漫画家だということを知っていたので「お父さんはどんな漫画を描いてたんですか?」と聞いてみたら「そうだなぁシュレックとか」「え~!?有名なやつじゃないですかぁ」というふうなことがあった。
で、横浜市立図書館の蔵書検索ということができるようになったので、ついつい「スタイグ」とか検索してみたら「ウイリアム・スタイグ」の絵本が引っかかってきたというわけなのだ。
「くぎになったソロモン」という話で、ウサギのソロモン君はある日自分の鼻をこすると自分自身が釘になってしまうことを発見する。しかし、釘に変身する瞬間を猫の一家に見られてしまい、釘になったまま捕らわれの身となって檻に入れられてしまう。猫の一家は釘がウサギに変わったら食ってしまおうと待ち構えているのでソロモン君は釘のままじっとしている。
しびれを切らした猫一家は釘を家の外壁に打ち付けてしまう(猫一家は木造の一軒家に住んでいる)ので、ソロモン君はウサギに戻れなくなってしまう。さて、どうなる? というお話だ。ジェレミースタイグのお父さんがこういうお話を作ったのかと思うとなかなか感慨深いものがある。
では、そのジェレミー・スタイグってどんな演奏するの? とお思いの向きもございましょうから、彼を一躍有名にしたアルバム「What's New」から「Time Out For Chris」をどうぞ。ピアノ:ビル・エヴァンス、ベース:エディ・ゴメス、ドラム:マーティ・モレル。
アルバム「What's New」はジャズのアルバムの中でベスト10に入るのはちょっと難しいかもしれない。が、ベスト50にはきっとはいるとおもうなぁ。私の持っているアルバムの中では間違いなくベスト5に入るのだが。
そうだ、ジェレミーがどんな絵を描いているかというのもここに置いておこう。
なにかお父さんの絵に通じるものを感じ取れるかな?




書くのを忘れていたのだが、世田谷文学館で開かれていた「筒井康隆展」に行ってきたのだった。



デイル・ブラウンの軍事小説に疲れたので、箸休めのつもりで女性が主人公の柔らかめのサスペンスを選んだつもりだったのだが。
半島あたりの雲行きが怪しくなったころに買ったものを今頃読んでいる。
で、こんな本を見つけた。タイトルの「またたび浴びたタマというのが回文になっているのだが、回文が44件あって、それぞれに村上春樹の小文が付いている。
「臨死のマック抱く、妻の心理」
次いで、東京YearZeroという、第二次大戦の終戦前後の東京を舞台にした警察小説なのだが、作者がなんと英国人のデビッド・ピースという人。外国人がよくこんな小説を書いたなぁというのが率直な感想。筒井康隆風のテキストがあったりして読みにくかったりもするのだが、8月15日の玉音放送の直後に「こうなったら長野県に立てこもって徹底抗戦だ!」とか言い出す人がいたりして、なんてことをどうやって思いついた?
そのあと、「龍の帝国」という危ない本につかまりそうになったが、これは西暦2190年から始まる話で、古代中国的な政治体系が世界を支配しているというありがたくない状況で、世界は「アイス」と呼ばれる硬質プラスティックという大陸を超える床で仕切られた階層構造になっており、人々はまさに階層を成して暮らしている、という設定。で、作者が英国人のデビッド・ウィングローヴというひとで、この小説は日本語の文庫版では全16巻になるという超大河小説なのだ。
ああ、そういえばこの「亡者のゲーム」の中でカズオ・イシグロの小説「日の名残り」(たぶんドイツ語版)が小道具に使われていたのだった。
ちなみにこの本の裏表紙というか、上の写真の反対側はこんなふうになっている。今にしてみれば特に目新しいものでもないが、当時としてはなかなか意表を突いたデザインだったと思う。

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